公認会計士の業界選び失敗からBig4 FAS転職で年収720→1,000万円——読者Mさんが動いた理由と私が勧めた準備
私のところに、Big4監査法人シニアスタッフ4年目で消耗している公認会計士Mさん(30歳)から「このままじゃ身が持たない」とメールが届いたのが去年の秋でした。月残業100時間超・年収720万円から、Big4 FASに移って年収1,000万円に届くまでの6ヶ月を、本人の許可を得て記録します。個人の記録で、成果は個人差があるのは前提です。
読者Mさんからもらったメール——「監査法人4年目、もう限界です」
去年の秋、Mさんから届いたメールを開いた瞬間、私はしばらくスマホを握ったまま固まりました。送信時刻が深夜2時。件名は「かいさんに相談したいです」。この時間にこの件名を打つ人の消耗具合は、なんとなく想像がついて、胸が苦しくなりました。本人の許可を得て、一部を抜粋します。
> 「Big4系の監査法人に新卒入社して4年目、3年目でシニアスタッフに昇格しました。公認会計士試験合格は2年目です。繁忙期は朝9時に出社して終電、土日出勤が月2〜3回。直近の月残業は104時間で、今月も既に80時間超えてます。年収は720万で賞与込み。同期の何人かは既に辞めていて、残っているメンバーも半分以上が転職活動中です」
> 「監査という仕事自体は嫌いじゃないんですが、このペースだと30代後半で体を壊す同僚を何人も見てきました。会計士資格を活かして転職したいのですが、FAS・コンサル・事業会社経理と選択肢が多すぎて、1年近く動けていません」
メールを読み終わったあと、私はしばらく動けませんでした。文章の端々から、消耗を通り越して判断力そのものが鈍っている空気が漂っていて、正直しんどかっただろうな、と胸が詰まりました。返信を打とうとして何度も書き直して、結局最初の一通は「まず月曜、30分だけ話しませんか」という一行だけにしました。いきなり選択肢の話をする前に、呼吸を整える場所が要ると思ったからです。
私が感じた「業界選び失敗のパターン」
Mさんのメールを読み返しながら、私がまず頭に浮かべたのは「業界選びを間違えると、監査法人を出ても同じ消耗が続く人がいる」という事実でした。副業ライターとして会計士・税理士10人以上の転職体験談を取材してきた中で、何度も繰り返し聞いてきた話で、正直、聞くたびに胸が痛みます(出典: 筆者個人の取材・ヒアリングベース。成果は個人差があります)。
私の頭の中のメモを整理すると、失敗パターンはだいたい3つに絞られます。
- パターンA: 事業会社経理で年収ダウン(720→620万など)。会計士資格のアドバンテージが薄く昇給上限も低い
- パターンB: Big4内FASやAdvisoryに移り年収+200〜300万・働き方も一定改善(Mさんはこれを選択)
- パターンC: 外資系戦略コンサル・PE・投資銀行に振り切り年収+500万超、ただし激務度は監査法人と同等以上
初回の面談で「AからCのどれが近いですか」と聞いたとき、Mさんはしばらく画面の向こうで沈黙していました。やがて「年収は上げたいけど今より激務は避けたい。Bが現実的だけど、会計士としてスキルが伸びるのか不安です」と、絞り出すような声で答えてくれました。迷いと焦りが同時に滲んでいて、軽々に答えを出してはいけない、と私は自分に言い聞かせました。ここで勢いで結論を出すのは一番危ないと、過去の取材で何度も見てきたからです。
面談後、私は会計・税務特化の転職エージェント「ツインプロ」を紹介しました。ツインプロは公認会計士・税理士・経理財務職に特化した転職エージェントで、Big4・事業会社経理・監査法人・FASなど会計専門領域の求人を厚く扱うのが特徴です(出典: ツインプロ公式サイト・筆者ヒアリング)。紹介ボタンを押すとき、「特化型の方がMさんには合うはずだ」という確信と、「それでも合わなかったらどうしよう」という緊張が半々で、指先が少し強張ったのを覚えています。並行して、私自身も職務経歴書と面接対策を伴走する約束をしました。
Big4監査法人→Big4 FAS転職で何が変わったか(Mさんの6ヶ月ビフォーアフター)
先に答えを言うと、Mさんは6ヶ月後にBig4系FAS(M&Aアドバイザリー部門)のSenior Consultant職で内定を得て、年収1,000万円(基本給+賞与)で転職しました。年収は+280万円です(個人の記録で、成果は個人差があります)。26年の4月に近況を聞きに行ったときのMさんは、半年前のあの深夜メールとは別人のように声に張りがあって、「ようやく夜ちゃんと眠れるようになりました」と笑いながら言ったのが忘れられません。私はその一言で、取材ノートを開く手が少し止まりました。年収の数字よりも、その「眠れる」の一言のほうが、ずっと重かった気がします。
本人の許可を得て、転職前後の数字を並べます。
Before(Big4監査法人シニアスタッフ4年目・2025年10月時点)
- 年収: 720万円(基本給580万+賞与140万)
- 月残業: 平均80〜100時間、繁忙期は120時間に達する月あり
- 土日出勤: 月2〜3回
- 担当業務: 上場企業監査チームのシニアスタッフ(インチャージ・若手指導・調書レビュー)
- スキル: 監査領域、IFRS対応・内部統制評価・J-SOX対応
監査法人シニアスタッフの年収レンジは大手4法人平均で650〜850万円(出典: 大手会計士転職情報メディア 2025年版 / doda 職種別平均年収ランキング 2024)なので、Mさんの720万円はレンジ内の標準値でした。一方、月80時間超の残業は厚生労働省の「過労死ライン」(出典: 厚生労働省「脳・心臓疾患の労災認定基準」2021年改定 / 厚生労働省 賃金構造基本統計調査 2024年)を月によって超過していた計算で、数字を見ながら私は正直ゾッとしました。紙の上では「標準値」でも、人の体は標準値に収まってくれない、と痛感した瞬間です。
After(Big4 FAS・Senior Consultant・2026年4月時点)
- 年収: 1,000万円(基本給780万+賞与約220万、想定値)
- 月残業: 50〜70時間(クロージング前は監査繁忙期並の月も)
- 土日出勤: 基本なし。クロージング直前のみ稀にあり
- 担当業務: M&A財務DD、バリュエーション、PMI支援
- スキル: 会計×財務×M&A実務の複合領域に拡大
「監査法人より楽になった」は本当か
ここは正直に書きます。取材のとき、私がいちばん聞きたかったのは「本当に楽になった?」でした。Mさんはコーヒーを一口飲んでから、こう返してくれました。
> 「月の残業時間は体感で30時間くらい減りました。ただ、案件のクロージング前は監査の四半期以上に神経使います。クライアントの役員と直接やり取りする機会が増えたので、責任範囲は広がった感覚。ただ、監査法人のような『全員で終電まで残る空気』はないので、メリハリはつけやすい」
この答えを聞いたとき、私は少し拍子抜けしました。てっきり「FASに移って天国みたいに楽になった」と返ってくると思い込んでいて、ノートに書くキラーフレーズを用意していたからです。実際には、楽になった部分としんどくなった部分が混在していて、それを冷静に言語化できていたことに、むしろ転職後の成長を感じました。腑に落ちた、という表現がいちばん近いかもしれません。
これは人によりますが、「時間は減るけど頭の使い方が変わる」のがFAS転職の実態だと、取材を通じて感じています。単純に楽になる転職ではない、ここは強く書き留めておきたいところです。年収上昇幅も、監査法人→FASで150〜300万が相場(出典: 大手会計士転職情報メディア・エージェント各社公表平均 2025年版 / doda 職種別平均年収ランキング 2024 / JICPA 公認会計士関連データ)で、Mさんの+280万は上限近くですが極端な数字ではありません。あくまで個人の記録で、成果は個人差があるのは前提です。
読者Mさんの年収ビフォーアフター:720万→1,000万円(+280万円)
Big4監査法人シニアスタッフ4年目→Big4 FAS Senior Consultant職への転職後6ヶ月時点の想定年収。本人ヒアリングベース。
業界選びを間違えないための3つの判断軸
Mさんと面談を重ねる中で、私が「会計士・税理士の転職全般に使える判断軸だ」と感じたものを3つにまとめます。面談のたびにMさんの声のトーンが落ち着いてきたのが印象的で、「判断軸を持つと人はここまで呼吸が深くなるんだな」と腑に落ちた体験でもありました。自分の中にある迷いを、他人の言葉でラベリングしてもらえると、人は一歩踏み出せるんだと改めて思いました。
判断軸1: 「激務の質」を言語化する
監査法人の激務と、FAS・コンサルの激務は、同じ「激務」でも質がまるで違います。この違いを面談で初めてMさんに説明したとき、「激務って一括りにしてたけど、種類が違うんですね」とモニター越しに驚かれたのを覚えています。私自身、副業取材の最初の頃は同じ勘違いをしていたので、あの戸惑いの表情は他人事じゃありませんでした。
- 監査法人: 期末・四半期決算に完全連動。繁忙期は全員が同時に激務化
- FAS: M&A案件のクロージング前に集中。案件ガチャ要素あり
- Big4コンサル: プロジェクト単位。立ち上げ期と納品期が重い
- 事業会社経理: 月次・年次決算で周期的。平常時は残業20時間以下も可能
Mさんは「周期的な激務は耐えられるが、予測できない突発激務が嫌」と、自分で自分の耐性を言葉にしてくれました。この一文が出てきた瞬間、面談の空気がふっと軽くなったのを覚えています。苦手な激務のタイプを自分で言語化できると、候補は自然に事業会社経理かFASの案件型に絞られていきました。私は特に誘導していません。本人の口から出た言葉が、一番強い判断軸になります。
判断軸2: 「資格の活かし方」を決める
公認会計士資格をどう活かすかで、進路が大きく分かれます。
- 会計士資格を武器に 専門性を深める: 監査法人パートナー、FAS、税理士法人
- 会計士資格を 入り口にして領域を広げる: Big4コンサル、事業会社CFO候補、ベンチャーCFO
- 会計士資格は 保持だけ して別領域に行く: IT系・PE・投資銀行
Mさんは「深めるより広げたい。ただし会計の軸は残したい」と、二度ほど言い直しながら言葉にしました。その瞬間、Big4 FASの会計アドバイザリー(M&A周辺)という現実的な最適解が、ようやく輪郭を持って浮かび上がってきました。「自分のやりたいことがやっと1行で言えた」と本人がつぶやいた声のトーンは、私の取材ノートの中でも特別な一行として残っています。資格をどう使うかは、他人が決められない問いだと改めて感じた瞬間でした。
判断軸3: 年収の「到達点」を確認する
短期の年収アップだけを見ると、実は判断を間違える確率が上がります。ここは自分の1回目の転職で痛感した部分で、当時の私は「今より50万上がるならOK」で走って、3年後に行き詰まった反省があります。その失敗を踏まえて、Mさんには必ず10年後の到達点を一緒に書き出してもらいました。相場感(2026年4月時点・東京・出典: 大手会計士転職情報メディア/エージェント公表ヒアリング平均 / doda 職種別平均年収ランキング 2024 / マイナビ 会計士関連データ)は次の通りです。
- 監査法人マネージャー(30代後半〜): 900〜1,200万円
- Big4 FASマネージャー(30代前半〜): 1,200〜1,500万円
- FASシニアマネージャー: 1,500〜2,000万円
- 事業会社経理課長(40代): 800〜1,000万円
- ベンチャーCFO: 1,200〜2,500万円(SO別)
Mさんにこの表を見せたとき、画面の向こうで「え、こんなに差があるんですか」と声が漏れたのが印象的でした。一番驚いていたのは、「事業会社経理だと10年後の到達点がFASより低い可能性がある」という一点です。その日の夜、「短期の楽さだけで判断しなくてよかったです。かいさんに会えてなかったら、確実に事業会社経理に逃げてました」とメッセージが届いたときは、私のほうが胸が熱くなって、画面を見ながら少しの時間動けませんでした。数字は個人の体験・ヒアリングベースで、成果は個人差があるのは前提ですが、判断軸を揃えるだけで視界はここまで変わるんだと改めて感じた夜でした。
監査法人 vs Big4 FAS vs 事業会社経理:働き方・年収・成長機会の違い
| 比較軸 | 監査法人(シニア〜マネージャー手前) | Big4 FAS(Senior Consultant) | 事業会社経理(課長手前) |
|---|---|---|---|
| 年収レンジ | 700〜900万円 | 900〜1,200万円 | 600〜850万円 |
| 月残業時間 | 繁忙期80〜120h / 閑散期30h | クロージング前60〜90h / 通常40〜60h | 月次決算前30〜50h / 平常15〜25h |
| 土日出勤 | 繁忙期月2〜3回 | 基本なし(稀に発生) | 基本なし |
| 業務の幅 | 監査領域に特化 | 財務DD×バリュエーション×PMI | 自社業界知識+会計 |
| 昇進スピード | 11〜13年でパートナー | 5〜7年でマネージャー | 10〜15年で課長 |
| 会計士資格の活かし度 | 高(前提スキル) | 高(評価材料) | 中(加点程度) |
Mさんのヒアリング+私が取材した会計士10名の平均値。2026年4月時点・東京・中堅〜シニアクラス。
私がMさんに勧めた動き方——会計特化エージェントと総合型の併用
Mさんには、会計・税務・経理財務に特化した「ツインプロ」と総合型の「TechGo」「ミライフ人材」を併用する形を提案しました。私自身が26年の1月ごろに自分の2回目の転職活動で4社のエージェントを使っていた感覚では、1社だけだと案件の偏りが出て、しかも自分の市場価値が歪んで見えてくるんですよね。軸+副の構成が、結局いちばん効率的だと身をもって感じました。
なぜツインプロを軸にしたか
ツインプロは公認会計士・税理士・経理財務職に特化し、Big4・事業会社経理・監査法人・FASなど質の高い求人を厚く扱う転職エージェントです(出典: ツインプロ公式サイト・筆者ヒアリングベース)。Mさんと一緒に初回面談の振り返りをした中で、良かったと感じた点は次の3つでした。
- Big4出身のキャリアアドバイザーが在籍。監査法人の内部事情を前提にした会話ができる
- 会計事務所・税理士法人・FAS・事業会社経理 の案件比率バランスが取れている
- 年収交渉の精度が高い。「同じBig4 FASでも、どの部門・どのランクならいくらまで引き出せるか」の解像度が細かい
最初の面談が終わった直後、Mさんから「監査法人の繁忙期の話がそのまま通じたのが意外でした。毎回ゼロから説明しなくていいだけで、こんなに疲れないんですね」と連絡が来ました。私は思わず「そこなんですよね…」と独り言を言いました。専門特化型の良さって、結局「通訳が要らない安心感」なんだと改めて感じた瞬間です。
ツインプロの弱点もMさんに伝えた
正直、ツインプロには短所もあります。次の2つ。
- 会計特化ゆえに、完全異業界(IT・メーカー事業側など)の紹介は薄い
- 地方案件は都内ほど厚くない
Mさんは東京で会計領域を広げたい希望だったので、この2点はむしろ問題になりませんでした。ただ、資格を保持したまま別領域(PE・投資銀行など)に行きたい人は、別エージェント併用が必要です。私は最初に短所を正直に伝えたのですが、Mさんから「短所を先に言ってもらえると逆に信用できます」と返ってきて、こちらが少し驚きました。弱点を隠さない方が、結果的に信頼される。期待値調整の大事さを、教えてもらった形です。
TechGo・ミライフ人材を副で使った理由
- TechGo: IT領域の年収相場を把握するため。Big4コンサルのIT系プロジェクト案件をクロスチェックできた
- ミライフ人材: 中長期のキャリア相談向け。「転職する/しない」を含めた広い相談ができる
併用の結果、Mさんはツインプロ経由のBig4 FAS 1社と、TechGo経由の独立系FAS 1社から内定を獲得。ツインプロ経由の方が年収提示が高かったので、そちらに決定しました。内定が2社揃った夜、Mさんから「人生で初めて『選べる側』に立ちました」とLINEが届いて、私は画面の前で声を出さずに涙が出そうになりました。深夜2時のあのメールから、半年でここまで来たのか、と。
これは人によりますが、会計士・税理士資格を持っているなら、会計特化エージェントを1社は必ず入れるべきだと、私自身の取材経験からは強く感じます。総合型だけだと資格の市場価値が正しく値付けされないケースを何度も見てきて、その度に「もったいない」と心の中でつぶやいてきました。資格は使える場所に出して初めて資格になる、という感覚です。
Big4 FAS転職に必要な準備と選考対策
Mさんが実際に6ヶ月でやった準備を、時系列で共有します。
準備1: 監査経験の「FAS文脈への翻訳」
監査法人での業務は、そのままFASの職務経歴書に書くと驚くほど弱く見えます。Mさんが最初に作った経歴書は「上場企業3社の監査シニアスタッフ」という書き方で、私が下書きを見たときも「うーん、これだと刺さらないな」と率直に感じました。ツインプロのアドバイザーから「M&A実務への転用価値が伝わらない」と指摘されたそうで、Mさん本人も「監査法人で評価された書き方が、外に出た瞬間にこんなに弱く見えるなんて、正直ショックでした」と苦笑いしていました。私もその気持ちはよくわかって、自分の1回目の経歴書を見返したときの感覚を思い出していました。
翻訳後はこうなりました。
- 「上場企業監査」→「年商3,000億円規模の製造業クライアントに対し、IFRS移行プロジェクトを会計論点の観点から支援。買収子会社3社の連結範囲・のれん計上の論点を担当」
- 「調書作成」→「決算プロセスを定量評価し、5つの早期化ポイントを抽出。クライアント経理部門に改善提案を実施」
動詞と数字を入れ替えるだけでなく、「クライアントの経営課題にどう貢献したか」「M&A・組織再編の文脈と接続できるか」 の視点で書き換えるのがコツです。書き換え後のPDFを二人で見ながら、Mさんが「え、これ本当に自分のことですか。別人みたいに強く見えます」と笑った瞬間、私も思わず吹き出しました。やっていることは同じなのに、書き方ひとつでここまで印象が変わるのか、と。小さな達成感が、久しぶりに腹の底から湧いてきた時間でした。
準備2: ケース面接・財務モデル対策
Big4 FASの中途面接では、ケース面接に加えて財務モデル・バリュエーションの基礎問題が入ります。Mさんは次の対策をしました。
- 書籍3冊(『企業価値評価』『MBAバリュエーション』など)を2周
- 模擬ケースを10回(ツインプロ提供4回+友人との練習6回)
- 丸暗記より「なぜこの買収案件が成立するか」を自分の言葉で説明する訓練
FAS面接で評価されるのは「財務数値から事業の構造を読む力」です。会計士は決算数値の構造化が得意なので相性が良いと、Mさんも3回目の模擬あたりから口にし始めました。1回目の模擬面接の直後、Mさんから「正直、無理です。財務モデルとか触ったこともないのに、解ける気がしない」と弱気なメッセージが届いた夜のことは、私もよく覚えています。それが3回目の模擬の帰りに「意外と楽しいかも、って思い始めちゃいました」と笑い混じりで言ってくれたとき、私はこの転職はもう大丈夫だと確信しました。焦りが好奇心に変わる瞬間を、久しぶりに目撃した気がします。
準備3: 年収交渉の下準備
ツインプロのアドバイザーから「オファー面談で年収を引き上げるには、他社の提示年収を明示できることが最大の武器」とアドバイスされました。
Mさんは最終的にツインプロ経由のBig4 FASとTechGo経由の独立系FASの2社から内定をもらい、独立系FAS側の提示(950万円)をツインプロに共有しました。その結果、Big4 FAS側の年収提示が920万→1,000万円に引き上がりました。オファー面談の直後、Mさんから「人生で初めて会社側に年収を吊り上げてもらいました、震えてます」と連絡が来て、私は自室で一人ガッツポーズをしていました。傍から見ると相当怪しい光景だったと思います。
複数内定は年収交渉の最大のレバレッジです。1社だけで決めないこと、ここは強調しておきたいです。
準備4: 退職交渉のタイミング
Mさんは内定承諾後、監査法人の繁忙期明け(5月下旬)に退職意向を伝えました。繁忙期のど真ん中で退職を切り出すとチーム全員の負荷が跳ねるので嫌われやすく、タイミングの一手は本当に大事です。私が1回目の転職で失敗したのもまさにこの点で、繁忙期直前に切り出して空気が凍った苦い記憶があります。
加えて、現場マネージャーではなく所属パートナーに直接話を通したのもポイントでした。監査法人はパートナー制のため現場マネージャー経由だと情報が歪むことがあります。Mさんは2週間前から所属パートナーと1on1の時間を取り、徐々に切り出したそうです。「正直、めちゃくちゃ緊張しました。1on1の前にトイレで深呼吸してましたから」と後から笑いながら教えてくれたとき、人の転職って最後の最後で消耗するのは数字じゃなくて人間関係なんだな、と改めて感じました。
準備5: 内定受諾後の勉強期間を確保する
Mさんがもう1つ良かったと振り返っていたのは、内定受諾から入社までの1.5ヶ月間を「意図的に勉強期間に充てた」ことです。FASで必要なExcel財務モデル、DCF・類似会社比較法などを、書籍3冊とYouTube講座で詰め込んだと言っていました。「あの1.5ヶ月がなかったら、初日に確実に溺れてました」と本人もしみじみ話していて、私は自分の1回目の転職で入社直後に溺れた記憶と重ねて、深くうなずきました。入社初日から「会計士の強み+FASの型」で動けたのが早期立ち上がりに繋がったそうで、転職は内定までが半分、入社後の立ち上がりが残り半分だと改めて感じる話でした。
Big4 FAS転職の5ステップ(Mさんが6ヶ月でやったこと)
Mさんの実例ベース。期間は人によって3〜9ヶ月の幅があります。
会計士・税理士向け転職エージェント比較——どれを軸にするか
Mさんのケースで併用した3社を中心に、会計士・税理士・経理財務職が使えるエージェントを比較します。
ツインプロ(軸推奨)
- 特徴: 公認会計士・税理士・経理財務職に特化した転職エージェント。Big4・事業会社経理・監査法人・FASなど質の高い求人を厚く扱う
- 強み: Big4出身アドバイザーによる内部事情理解、年収交渉精度、会計領域内の選択肢の多さ
- 短所: 完全異業界の紹介は薄い、地方案件は都内ほど厚くない
- 向いている人: 会計士・税理士資格を会計領域で活かしたい人
私が自分で4社を使ってみたとき、ツインプロの初回面談は60分の予定が気づいたら90分に延びていて、スマホの時計を見て驚いたのを覚えています。「監査法人側の事情を前提に話せる」という体感は、他社の面談後と比べると差がかなり明確でした。Mさんも同じ感触を持ったと話してくれて、専門特化の価値ってこういうところだよな、と二人で妙に納得しあった時間でした。
TechGo
- 特徴: IT・DX人材総合型
- 強み: IT系プロジェクトの紹介多い、Big4コンサルのデジタル部門を横断的に比較できる
- 短所: 純粋な会計案件は少ない
- 向いている人: 会計×ITの複合領域を狙う人
ミライフ人材
- 特徴: キャリアカウンセリング重視の総合型
- 強み: 中長期のキャリア相談、転職するかしないかから一緒に考えてくれる
- 短所: スピード重視の転職には不向き
- 向いている人: キャリア全体を棚卸したい人
併用の考え方
- 軸1社 + 副1〜2社 が最適。3社以上だと日程調整が回らない
- 軸は会計特化(ツインプロ)、副は目的別
- 全社に同じ希望を伝えて比較する
登録・面談は各社サイトから可能です。合格保証や結果は断定できませんが、Mさんは3社併用で半年以内に希望年収到達という結果でした(個人の記録で、成果は個人差があります)。最後にMさんからもらった「動き始めて3ヶ月で、ようやく人生の舵を握り直せた感覚があります」という一言は、取材ノートの最後のページに線を引いて残しています。私が副業で転職支援を続けている理由は、結局このひと言に尽きるんだよな、と自分に言い聞かせるように読み返している一節です。
Mさんの転職データ3つ——体験値で見る実態
本人ヒアリング(2026年4月時点)。
よくある質問(FAQ)
Q: 監査法人4年目でBig4 FASに転職するのは早すぎませんか?
Mさんの例では4年目で年収720→1,000万円に届きましたが、一般的にBig4 FASのSenior Consultant枠は、監査経験3〜5年がボリュームゾーンです。早すぎるというより、2年未満だと監査経験の厚みが評価されにくい傾向があります。4年目は十分に動ける時期だと感じます。個人の記録で、成果は個人差があるのは前提です。
Q: 公認会計士の資格がなくても、税理士資格でBig4 FASに転職できますか?
税理士資格でもBig4の税務部門(タックスアドバイザリー)には転職可能です。ただし、M&A FAS系のポジションは会計士資格の方が有利なケースが多いです。ツインプロの面談で「どの資格でどの部門が狙えるか」の解像度が上がるので、まずは相談ベースで確認するのが早いです。
Q: 監査法人より残業が減るのは本当ですか?
Mさんの例では月残業が80〜100時間→50〜70時間に減りました。ただし、Big4 FASもM&A案件のクロージング前は残業が増えます。「全体平均で減る」のは事実ですが、「常に楽になる」わけではありません。ここは期待値調整が大事だと感じます。
Q: 複数エージェント併用で、先方に失礼にならないですか?
エージェント業界では併用は前提です。3社程度までなら全く問題ありません。むしろ「御社だけです」と嘘をつく方が、後で発覚したときに信頼を失います。正直に「御社含め2社併用中」と伝えるのが普通の対応です。
Q: 転職活動は仕事を続けながらできますか?
Mさんは監査法人の繁忙期以外の時期に面接を集中させました。Big4 FAS側も会計士・税理士の事情は理解しているので、平日夜・土曜午前の面接を組んでくれるケースが多いです。ただし繁忙期(5月末・11月末・2月末)は面接スケジュールが組みにくいので、その時期を避けて動くのが現実的です。
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本記事で引用したデータの一次ソース一覧です。情報の最終確認日も併記しています。
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