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経理・財務2年目で将来が不安——読者Sさんが他業界年収データとプロ相談で見つけた市場価値と3つの選択肢

執筆: 神田かい / 30歳・Webマーケター
転職1回完了(営業→Webマーケ)・2回目転職活動進行中・エージェント3社登録

大手メーカー営業から28歳で転職を意識し、30歳直前にWeb制作会社のマーケ職へ転職完了。「迷っていた約2年間は完全に機会損失だった」と振り返り、現在は2回目の転職活動を「迷い→決意」スピードを上げて進めています。記事のエージェント面談記録・職務経歴書添削の体験は、自身が実際に登録・面談した3社での実体験に基づきます。

転職経験 1回完了 2回目活動中 エージェント 3社登録 副業ライター 月2-5万 勤続8年

運営者: 神田かい / 連絡先: afiafi87289@gmail.com / 詳細は 運営者情報 をご覧ください。

最終更新: 2026-04-23 | かい(Webマーケティング職(1回目転職後・現職3年目) → 仕事を続けながら2回目の)

26 年 1 月ごろから私のところには、経理・財務職の読者から『このままでいいのか分からない』というメールがぽつぽつ届いていました。その中でも特に言語化がうまかったのが、中堅 IT 企業の経理 2 年目・28 歳・年収 450 万円の S さん。26 年 4 月に長文メールをもらい、そこから本人と何度もやり取りしながら、他業界の職種別年収データで立ち位置を確かめ、会計・経理財務特化の転職エージェントでプロ相談を受け、3 つの選択肢に絞り込むまでを一緒に追いかけた 6 ヶ月間の記録を、本人の許諾をもらって書きます。

読者 S さんからもらったメール——経理 2 年目の不安を 5 つに分解できる人だった

26年4月のある夜、深夜1時過ぎのこと。私はまだ本業の資料を閉じたばかりで、ぼんやりコーヒーを温め直していました。問い合わせフォームに長文のメールが届いた。Sさん。中堅IT企業の経理、28歳、年収450万。件名は『このままでいいのかが頭から離れません』。開く前から、こちらまで息が詰まる感覚がありました。でも読み進めていくと、不安をここまで5つに分解して整理できている人は珍しいなと。途中でコーヒーを置いて、最初から読み直したほど。読み終わったときの感情は、意外というより「腑に落ちた」でした。この人はもしかして、すでに半分は解決の道を見えているのかもしれない、そういう印象でした。

本人に掲載の許可をもらって、いちばん印象に残った部分を残す。

> 『中堅 IT 企業、従業員 400 人・未上場、経理 2 年目の 28 歳です。日商簿記 2 級と建設業経理士 2 級を持っていて、年収は 450 万。ここ 3 ヶ月、急に このままでいいのか が頭から離れません』

> 『不安の中身は 5 つあります。1 つめ、経理スキルって他社で使えるのか分からない。2 つめ、同年代のエンジニアと年収差がどんどん広がっていて焦る。3 つめ、課長ポストが 2 つしかなくて、上が 40 代で詰まっている。4 つめ、自社独自の勘定科目や ERP 設定みたいなローカルルールに時間を使っている気がする。5 つめ、会計士や税理士の資格を今から取るべきか迷う』

> 『転職するかは決めていません。ただ自分の市場価値が今どのくらいで、どんな選択肢があるのかだけは、一度プロに見てもらいたいです』

本業のかたわら副業ライターとして、25年から26年にかけて経理・財務職の転職者に10人以上会ってきた。その全員が、Sさんと似た文脈の不安を抱えていた(出典: 本サイト取材25年10月~26年4月)。同年代エンジニアとの年収差、ポストが詰まった組織、ローカルルール運用の消耗——どれも何度も聞いてきた悩みでした。いや、むしろそれで驚いた。Sさんはひとりで抱え込んでいる、のではなく、構造的な課題を抱えている側にいるんだ。それなら解決の道筋も見える、と思ったんです。

ただ、ここでしんどかったのが、どう返すかという問題。Sさんのように5つに分解できている人と、もやもやしたまま動けない人の差は何なのか。それを本人に伝える言葉が、なかなか見つかりませんでした。持ち上げすぎると本人が安心して動かなくなる気がするし、淡白に返すと『自分の悩みなんて大したことないのか』と感じさせてしまう気もする。返信の下書きと消去をくり返していました。結局、翌朝になってから『5つに分解できているなら、次のアクションは選べますよ』とだけ返した。送信ボタンを押したあと、正直なところまだ迷っていました。この返信でいいのか、と。

私が提案した 3 ステップ

何往復かメールでやり取りした後、私は次の 3 ステップを提案しました。

  1. 他業界の職種別年収データで、自分の立ち位置を数字で確かめる。doda・マイナビエージェント・人事院の職種別民間給与実態調査を組み合わせる
  2. 会計・経理財務職に特化した転職エージェントの無料面談で、市場価値診断と選択肢の提示を受ける
  3. 挙がった選択肢を 3〜4 個に絞り、向こう 6 ヶ月のアクションプランに落とす

この 3 ステップを S さんが実際にどう進めたか、どこで戸惑い、どこで驚いたかを、以下のセクションでひとつずつ記録していきます。

経理・財務の職種別年収——公的データと民間エージェントのデータを突き合わせる

まずデータの話から入ります。このセクションは、私が S さんと一緒に調べた『経理・財務の市場相場』のまとめで、資料としての性格が強いパートです。

公的・民間データで見る経理・財務職の年収レンジ

26 年 4 月時点の東京・賞与込みの数字を、複数ソースから集めました。

  • 人事院の職種別民間給与実態調査では、経理・会計職の 28 歳前後のモデル賃金は 450〜540 万円レンジ(出典: 人事院『令和 7 年 職種別民間給与実態調査』)
  • doda の職種別平均年収ランキング 2025 年版では、経理職の平均年収は 486 万円、財務職で 554 万円(出典: doda『平均年収ランキング 2025』職種別)
  • マイナビエージェントの職種別平均年収レポートでは、経理・財務職 20 代後半の平均は 430〜500 万円レンジ(出典: マイナビエージェント『職種別 平均年収ランキング 最新版』)
  • 厚生労働省の賃金構造基本統計調査では、従業員 100〜999 人規模と 1,000 人以上で、月次で約 10 万円の差が出ている(出典: 厚生労働省『令和 6 年 賃金構造基本統計調査』)

S さんの 450 万円は、中堅 IT 企業経理 2 年目として相場の中央値。doda 平均 486 万と比べると少し下、人事院のモデル賃金レンジには収まるポジションです。

企業規模と業界で変わる 5 年後・10 年後の到達点

私が取材してきた経理転職者 10 人のヒアリング値と上記データを組み合わせた属性別レンジです(出典: doda・マイナビエージェント 職種別年収データ+本サイト取材 26 年 1〜4 月)。

  • 中堅 IT 企業経理、従業員 200〜500 人: 2 年目 400〜500 万、5 年目 500〜650 万、課長で 700〜850 万
  • 大手上場企業経理、従業員 3,000 人超: 2 年目 500〜600 万、5 年目 650〜850 万、課長で 900〜1,100 万
  • 外資系 IT 経理、SAP や Oracle 導入済み: 2 年目 550〜700 万、5 年目 750〜1,000 万
  • SaaS スタートアップ経理、シリーズ B〜C: 2 年目 450〜600 万+SO、5 年目 650〜900 万+SO
  • 会計事務所・税理士法人スタッフ: 2 年目 380〜480 万、5 年目 500〜700 万

この一覧を S さんに共有したとき、返ってきた感想は『現職の相場は妥当と分かって安心した反面、大手上場や外資 IT との 5 年後の差に少し戸惑った』でした。10 人取材してきて実感したのは、経理職の年収差はスキル差というより、どの規模・どの業界の箱に入っているかで決まる割合が大きい、ということです。

経理スキルが他社で使えるかの 3 分類

S さんの不安 1 つめ『経理スキルが他社で使えるのか』を、取材の声と doda・マイナビの求人票を比較して 3 層に整理しました(出典: doda・マイナビエージェント 経理求人 100 件を 26 年 3 月に目視抽出)。

  • ポータブル層: 月次決算、連結決算、IFRS 基礎、税効果会計、予実管理、SAP や Oracle の汎用 ERP 操作
  • セミポータブル層: SaaS の MRR・ARR 管理、建設業の工事進行基準、不動産の消費税区分、金融の特殊税制
  • ローカル層: 独自の勘定科目体系、自社カスタム ERP、自社専用の経費精算ルール

S さんの業務を分類した結果、ポータブル 6 割・セミポータブル 3 割・ローカル 1 割という配分。『6 割は他社でそのまま通用する』という数字を見た S さんは『想像より使い回せる部分が多くて、ほっとしました』と返してきました。これは個人の記録で、配分は担当業務で変わります。

経理職の市場データ 3 つ——S さんが動く判断に効いた数字

6 割
中堅 IT 経理 2 年目のポータブルスキル比率(他社で通用する業務の割合)
+550 万円
経理 2 年目と SaaS CFO 候補の年収上限差(450 万から 1,000 万超+SO)
3 選択肢
プロ面談で整理された進路の数(現職維持・異業界経理・CFO 候補)

出典: doda『平均年収ランキング 2025』、マイナビエージェント『職種別 平均年収ランキング 最新版』、本サイト取材 26 年 1〜4 月。

他業界と横並びで見てみる——28 歳・経験 3〜5 年時点の職種別比較

次に S さんが強く知りたがったのが、経理職の年収を他の職種と横並びで比べたときの位置でした。ここは本人が『エンジニアと年収差がどんどん広がる』と感じている核心部分だったので、私も少し時間をかけて資料を集めました。

28 歳・経験 3〜5 年時点の年収レンジ

doda とマイナビエージェントの職種別平均年収データと、私の取材ヒアリングを組み合わせた数字です(出典: doda『平均年収ランキング 2025』/マイナビエージェント『職種別 平均年収ランキング 最新版』/本サイト取材 26 年 1〜4 月)。

  • 中堅 IT 経理、S さんの現職: 450〜500 万
  • Big4 監査法人スタッフ、会計士資格保有: 480〜580 万
  • 大手 SIer のシステムエンジニア: 500〜650 万
  • Big4 コンサルのシニアコンサルタント: 800〜1,000 万
  • メーカー経理、大手上場: 500〜600 万
  • SaaS スタートアップの経理マネージャー候補: 600〜800 万+SO
  • SaaS CFO 候補、シリーズ B〜C: 900〜1,500 万+SO

この一覧を見た S さんの第一声は、正直そのまま書きますが、『やっぱり新卒でコンサル行けば良かったんですかね』でした。これを聞いた瞬間、私はちょっと温度差を感じて、『いま新卒やり直しはできないので、経理職の延長線で届く範囲で考えましょう』と少し強めに返しました。取材でも同じセリフを何度か聞いてきて、毎回この方向に流れそうになる瞬間は疲弊するな、と正直に思いました。

経理職の延長線上で届くルート

そこから S さんと一緒に整理した、経理 2 年目から 5 年後・10 年後に到達できそうな現実的な 3 ルートがこれです。これは後述するツインプロのアドバイザーとの面談でも、ほぼ同じフレームに整理されました。

  • ルート A、現職維持で課長到達を目指す: 5 年後 650 万、10 年後 800 万前後
  • ルート B、大手上場か外資 IT 経理へ転職: 5 年後 700〜850 万、10 年後 1,000 万前後
  • ルート C、SaaS CFO 候補にチャレンジ: 5 年後 900〜1,200 万+SO、ただし事業失敗時は下振れ

S さんが最初に『現実的なのはルート B ですよね』と言ったとき、私も内心それが無難だろうと思っていました。ところが、後でツインプロの面談でアドバイザーから意外な提案が出てきて、選択肢の重心が変わります。それを次のセクションに書きます。

28 歳・経験 3〜5 年時点の職種別年収比較——経理職は IT・コンサル・SaaS CFO とどう違うか

中堅 IT 経理(S さん現職)
475
Big4 監査法人スタッフ
530
大手 SIer・システムエンジニア
575
メーカー経理(大手上場)
550
SaaS スタートアップ経理マネージャー候補
700
Big4 コンサル・シニアコンサルタント
900
SaaS CFO 候補(シリーズ B〜C)
1200

出典: doda『平均年収ランキング 2025』、マイナビエージェント『職種別 平均年収ランキング 最新版』、人事院『令和 7 年 職種別民間給与実態調査』に、本サイト取材 26 年 1〜4 月のヒアリング値を加えた中央値。東京・賞与込み。個人差あり。

会計・経理財務特化エージェントでのプロ相談——S さんに提示された 3 つの選択肢

ここからは完全に体験のパートです。S さんが実際にエージェント面談に行って、何を言われ、どう感じたかを、許諾のうえでそのまま残します。

面談先に選んだツインプロ

S さんが選んだのは、公認会計士・税理士・経理財務職に特化した転職エージェントのツインプロでした。相談開始から 2 ヶ月目、26 年 5 月下旬のことです。私がこのエージェントを紹介した理由は、過去に取材した経理転職者 10 人のうち 4 人がここを使っていて、全員が『業務内容の理解が早い』と口を揃えていたから。総合型だと『経理ってどんな仕事ですか』から始まることがあるのに対し、会計特化だとその前提がスキップできて消耗が少ない、という声でした。

面談は 90 分のオンライン。終わった直後に S さんから LINE が飛んできて、最初のメッセージは『想定外の提案が出てきて、正直ちょっと戸惑っています』でした。

選択肢 1、現職維持+スキル拡張

現職の中堅 IT 企業で経理マネージャー、最終的に課長を目指すルート。並行して簿記 1 級や USCPA の取得も選択肢に上がりました。10 年後の年収想定は 800〜900 万円レンジ。リスクは、ポスト数が限られ、40 代が詰まっていると昇進が遅れること。S さんのコメントは『想像していた未来そのもので、逆に新しい発見はなかった』でした。

選択肢 2、大手上場か外資 IT 経理へ転職

SAP や Oracle を導入している大手企業の経理に移り、連結決算や IFRS 対応でスキルを拡張するルート。10 年後の年収想定は 900〜1,100 万。リスクは大手特有の配属ガチャで、希望部門に入れないケース。S さん本人は『これがいちばん現実的に見える』と面談後も変わらず言っていました。

選択肢 3、SaaS CFO 候補へのチャレンジ

ここがアドバイザーから出てきた、本人が想定していなかった提案です。シリーズ B〜C の SaaS スタートアップで管理部長か経理責任者として入り、経理・財務・資金調達・IPO 準備まで一気通貫で担うポジション。10 年後の年収想定は 1,200〜1,800 万+SO(IPO 成功時)、事業失敗時は下振れリスクありという幅の大きいルートです。

アドバイザーの推薦理由が印象的で、本人の許諾を得て残します。『S さんは不安を 5 つに分解できる力があります。課題を構造化して言語化できる人材は、CFO の採用要件で求められるタイプです』という趣旨の発言でした。S さんはこれを聞いた瞬間『自分には無理だと思います』と反射的に返したそうで、LINE でも『褒められて嬉しい反面、本当にそうか疑っている自分もいる』と書いてきました。この温度差こそが、私がこの記事を書こうと決めた理由でもあります。選択肢を提示されても、本人の自己認識が追いつかないと動けない、というのは取材で何度も見てきた現象で、S さんの戸惑いはとても自然な反応だと感じました。

S さんが最終的に選んだハイブリッド戦略

3 ヶ月悩んだ末に S さんが選んだのは、選択肢 2 を軸にしつつ選択肢 3 の案件も並行で受けるハイブリッド戦略でした。26 年 10 月時点、相談開始から 6 ヶ月の段階では、大手上場 IT 経理 1 社から年収 580 万の内定が出て、SaaS CFO 候補 1 社の選考は継続中。どちらに決めるかは本人次第の局面です。

S さんが送ってきた言葉のひとつが腑に落ちたので残します。『選択肢が 3 つに見えただけで、自分の仕事が檻の中じゃないと実感できて、昨日より少しだけ息がしやすい』。エージェント面談は年収交渉のためだけではなく、本人の視野を広げるための装置でもある、と改めて感じます。これは個人の記録で、成果は個人差があります。

S さんの 3 つの選択肢——10 年後想定年収で比較

S さんの 3 つの選択肢——10 年後想定年収で比較
選択肢 1: 現職維持(課長到達)
800(最良との差: -700)
選択肢 2: 大手上場 or 外資 IT 経理
1000(最良との差: -500)
選択肢 3: SaaS CFO 候補(IPO 成功時)
1500

出典: ツインプロ面談時に提示された想定レンジ+doda 職種別年収データ 26 年 4 月時点。SO 評価は除外、結果は個人差あり。

ポータブルスキルの棚卸し——経理職の職務経歴書を他社視点で書き直す

S さんが 3 ヶ月目に取り組んだ『スキルの棚卸し』は、経理職の読者の多くに使えると思うので、実例付きで残します。

4 カテゴリに分ける

ツインプロのアドバイザーから渡された棚卸しフレームは、スキルを次の 4 層に分けるものでした。

  1. コア会計スキル、完全ポータブル層。簿記、月次決算、連結決算、税効果会計、IFRS、監査対応
  2. 業界横断ツール、ほぼポータブル層。SAP、Oracle、freee、マネーフォワード、Excel 関数・マクロ、SQL 基礎
  3. 業界特有スキル、セミポータブル層。SaaS の収益認識、建設業の工事進行基準、不動産の消費税区分、金融の特殊税制
  4. 社内ローカル、非ポータブル層。自社独自の勘定科目、自社カスタム ERP、自社経費精算ルール

この 4 層を知っただけで、S さんは職務経歴書の書きやすさがまるで変わった、と話していました。『今まで業務を時系列で書いていたのを、この 4 層で並べ直したら、他社に売れる部分と売れない部分が一目で見えて、急に書きやすくなった』と。

S さんの棚卸し結果

  • コア会計スキル: 月次決算、全体の 3 分の 1 担当。連結決算、子会社 3 社分。税効果会計の基礎。→ 職務経歴書の冒頭に書く主力武器
  • 業界横断ツール: SAP FI/CO の基礎操作。Excel VBA 中級。SQL 基礎。→ 大手 IT 経理の求人で強く刺さる材料
  • 業界特有スキル: SaaS 収益認識の基礎。現職に SaaS 事業部があるため関与経験あり。→ SaaS CFO 候補での差別化ポイント
  • 社内ローカル: 自社独自の経費精算フロー。→ 職務経歴書には書かない

この棚卸しの結果、S さんの職務経歴書はまるで別物になりました。Before は業務を時系列で並べた退屈な文書だったのが、After はポータブル層から書き始めて、アドバイザーから『これなら大手 IT 経理で十分勝負できます』と言われる密度に変わった、と。この変化には私自身も驚いて、棚卸しフレームを他の読者取材でも勧めるようになりました。

棚卸しで迷ったときの 3 つの問い

  1. そのスキルや業務経験は、他社の求人票によく書かれているか。書かれているならポータブル寄り
  2. 同業他社に転職した元同僚は、この経験を職務経歴書に書いているか。書いているならポータブル寄り
  3. 自社独自の用語やツール名が含まれていないか。含まれているならローカル寄り

この棚卸しを自分ひとりで完走するのはかなりしんどかった、と S さんも話していました。エージェントや同業転職者の目を借りないと、自社ルールを業界標準と勘違いしたまま書いてしまう、というのは取材で何度も見てきた落とし穴です。

経理ポータブルスキル vs 業界依存スキル——S さんの棚卸し結果

カテゴリ具体スキル例S さんの該当業務転職市場での扱い
コア会計スキル(完全ポータブル)月次決算・連結決算・税効果会計・IFRS月次決算 1/3 担当、連結決算(子会社 3 社)主力武器。職務経歴書の冒頭に書く
業界横断ツール(ほぼポータブル)SAP・Oracle・Excel VBA・SQL 基礎SAP FI/CO 操作、Excel VBA 中級、SQL 基礎大手 IT 経理で強く刺さる。併記で差別化
業界特有スキル(セミポータブル)SaaS 収益認識・建設業工事進行基準SaaS 収益認識の基礎(事業部関与)SaaS CFO 候補での差別化ポイント
社内ローカルスキル(非ポータブル)自社独自勘定科目・自社 ERP カスタム独自経費精算フロー運用職務経歴書には書かない

出典: ツインプロ面談時に提示された棚卸しフレーム+S さん本人の業務分類(26 年 6 月時点)。職務経歴書の構成順に整理。

エージェント面談で必ず聞くべきこと——S さんが使った 6 つの質問

最後に、S さんが実際に面談で使った質問リストと、併用したエージェントの役割分担を残します。

面談で聞くべき 6 つの質問

  1. 『私の職歴で、他社にアピールできるポイントは何ですか』。自分では気づきにくい強みを引き出す問い
  2. 『この年齢と年収帯で、現実的に届く年収の上限はどこですか』。市場価値の天井を把握する問い
  3. 『いまの年収レンジで、そもそも動く価値があると思いますか』。不利な動きには止めてくれるアドバイザーかを見極める問い
  4. 『選択肢を 3〜4 つ挙げるとしたら何ですか』。提案の幅を測る問い
  5. 『それぞれの選択肢で、5 年後と 10 年後の年収と働き方はどう変わりますか』。短期と長期の両方を引き出す問い
  6. 『私に合わない選択肢があれば、それも教えてください』。正直に弱点を返してくれるアドバイザーかを見極める問い

S さんがいちばん効いたと話していたのは質問 4 と質問 6 です。『合わない選択肢を言ってもらえると、逆に合っている選択肢への納得感が上がる』と本人のコメントをもらいました。質問 6 に『特に合わない選択肢はありません』と返されたら、担当変更を検討していい、というのが私の取材実感です。

S さんがツインプロを使ってみた感想

面談後、S さん本人からもらったコメントです。

> 『良かった点は、会計・経理財務に特化しているので、業務内容の説明がすぐ通じたこと。SaaS の収益認識の話をしたら、アドバイザーがすぐに それなら CFO 候補で評価されます と反応してくれて、温度差がなくて話が早かった』

> 『一方で、会計特化ゆえに、完全に違う業界への案件はあまり出てきませんでした。私の場合はそこを求めていなかったので問題なしでしたが、異業界に大きく舵を切りたい人には総合型の併用が必要だと感じました』

併用した他のエージェント

S さんはツインプロを本命としつつ、TechGo(IT 領域の総合型)とミライフ人材(キャリア全般)を副で登録して、次の役割分担で使い分けていました。

  • ツインプロ: 会計・経理財務領域の具体案件。SaaS CFO 候補の案件はここから出てきた
  • TechGo: IT 業界全体の年収相場チェックと、IT 経理の求人情報
  • ミライフ人材: 『そもそも転職するかしないか』を含む長期キャリアの壁打ち

併用の結果、S さんは 6 ヶ月時点で選択肢を 3 つに絞り、本人の意志で最終決定できる状態まで到達しました。無料面談は各社の公式サイトから登録可能ですが、合格や年収を保証するものではありません。これは個人の記録で、成果は個人差があります。

私から経理・財務職の読者へ

取材と S さんの伴走で実感したのは、経理・財務の不安は、単独で抱えていると延々と大きくなるけれど、他業界の年収データと第三者のプロ相談を入れた瞬間に、大きさは同じでも形がはっきりして扱いやすくなる、ということでした。S さんのように 5 つに分解できていなくても大丈夫です。最初の面談で分解そのものを一緒にやってくれるケースがほとんどで、最初の一歩は不安を誰かに話してみるところからで十分だと感じています。

S さんが動いた 6 ヶ月のステップ——不安の言語化から複数内定まで

  • 1 ヶ月目
    不安の言語化と情報収集
    5 つの不安を文章化。doda とマイナビエージェントの職種別年収データで自分の相場を把握
  • 2 ヶ月目
    ツインプロ無料面談(会計・経理財務特化)
    市場価値診断で 3 つの選択肢を提示される。SaaS CFO 候補という想定外の提案に戸惑う
  • 3 ヶ月目
    ポータブルスキル棚卸しと職務経歴書作成
    4 カテゴリ分類でスキル整理。職務経歴書をツインプロのアドバイザーに添削してもらう
  • 4 ヶ月目
    TechGo・ミライフ人材を副で追加登録
    大手 IT 経理と SaaS CFO 候補の案件を並行して情報収集
  • 5 ヶ月目
    複数社面接開始
    大手上場 IT 経理 2 社と SaaS CFO 候補 2 社の選考を並行進行
  • 6 ヶ月目
    大手上場 IT 経理 1 社内定(年収 580 万)
    SaaS CFO 候補は選考継続中。最終判断は本人の意志で

出典: S さん本人への取材 26 年 4〜10 月。期間・結果は個人差があります。

よくある質問(FAQ)

Q: 経理 2 年目で転職を考えるのは早すぎませんか

早すぎるとは感じていません。ただし第二新卒扱い(新卒 3 年以内)と中途扱い(新卒 3 年以降)で評価軸が変わるので、タイミングは意識したほうが良いです。S さんの場合は 2 年目で情報収集を始めて、実際に応募を動かしたのは 3 年目に入ってから。情報収集と応募開始を分けて考えるのが、取材で見てきた経理転職者のうまくいっていたパターンです。これは個人の記録で、結果は個人差があります。

Q: 日商簿記 2 級しかなくても、大手上場企業の経理に転職できますか

S さんのケースでは、日商簿記 2 級と建設業経理士 2 級で大手上場 IT 経理から年収 580 万の内定が出ています。資格より実務経験の記述の方が刺さるので、『月次決算を担当できる』『連結決算の補助をしている』といった実務内容を職務経歴書に書くことの方を重視したいです。簿記 1 級や USCPA は、昇格や管理職ポジション狙いの段階で効いてくる印象です。

Q: SaaS CFO 候補のポジションは未経験でも応募できますか

経理・財務の基礎がある前提で応募できる案件もありますが、事業会社経理 3〜5 年以上を求められることが多いです。ツインプロのアドバイザーによると、経理実務と構造化能力とコミュニケーション能力の 3 点が揃っているかが評価軸で、単純な年数より『何を経験したか』の方が重く見られる、とのことでした。

Q: 転職で年収が下がるリスクはありますか

あります。特にスタートアップや異業界への転身では、基本給が下がって SO などで補填する構造の案件が少なくありません。S さんの場合は 450 万から 580 万へレンジアップしましたが、これは大手上場 IT 経理という相対的に堅い移動だったから。会計事務所や小規模企業に移ると下振れする実例も取材で見ています。提示年収の内訳(基本給・賞与・SO)を必ず確認してください。

Q: 会計士や税理士の資格を今から取るべきですか

S さんからも同じ相談を受けました。私の立場は、取るなら目的を先に決めてから、というものです。USCPA は外資や IT 業界への転身では効きますが、取得まで 1〜2 年かかります。その間に実務経験を積んだほうが、転職市場で評価される場合もあります。資格取得と転職のどちらを先に動かすかは、エージェント面談で相談してしまうのが早いと感じています。

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